沖縄県民葬での安倍の弔辞はやはり口先だけだった! しかもまた民主主義を蹂躙する暴挙だ

●〔口先だけの安倍がさっそく暴挙に出た〕

今年10月9日に沖縄で、翁長前知事の県民葬が執り行われ、安倍の弔辞を菅が代読しました。その弔辞は次のとおりでした。「翁長前知事は、沖縄に基地が集中する状況を打開しなければならないという強い思いをおもちでした。基地負担の軽減に向けて、一つひとつ確実に結果を出していく決意であります。そしてこれからも、沖縄県民の皆様の気持ちに寄り添いながら、沖縄の振興・発展のために全力を尽くしてまいります」。

前回のブログで述べたとおり、口先だけのこの弔辞に対して沖縄県民は怒号を飛ばしたわけです。が、この3日後の10月12日に、玉城新知事が就任あいさつとして安倍と初会談しました。このなかで玉城は安倍に次のように求めました。「今回の知事選で、辺野古の新基地は認められないとの民意が、あらためて示された。安倍総理におかれましては、沖縄の声に真摯に耳を傾けていただきたい。安全保障の負担は全国で担うべき問題です」。そしてさらに、「早急に話し合いの場を設けてほしい」とも求めたわけです。

これに対して安倍は、「戦後70年以上が経ち、今なお沖縄に米軍基地が集中し、大きな負担になっている現状は、是認できるものではないと考えている」「今後も県民の皆様の命に寄り添いながら、基地負担の実現について、一つひとつ着実に結果を出していきたい」などと、いつも繰り返しているセリフを吐いてきました。

このセリフもやはり、いつものとおり口先だけだったようです。このわずか5日後の10月17日、安倍はなんとまたしても暴挙に出たのです。沖縄県民の意志や、玉城氏が求めていた対話を完全に無視し、沖縄県の埋め立て承認撤回に対して、強引な法的手段に打って出たのです。しかもその法的手段も、以前と同様、詐欺にも等しい不当なやり方を当ててくるという卑劣さです。民意を無視するだけでなく、不当な法的手段に強引に打って出るという完全に民主主義を蹂躙する暴挙です。そのことを報じる「琉球新報」の記事を下に引用します。ベージュとピンクのマーカーは要点として私が付けました。

<社説>国が撤回停止請求 民主主義蹂躙する暴挙だ

 米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設を巡り、元知事による埋め立て承認を県が撤回したことを受け、政府が対抗措置を取った。行政不服審査法に基づき国土交通相に審査を請求し、撤回の効力停止を申し立てたのである。

 9月30日の知事選では、辺野古移設を推進する安倍政権が全面支援した候補者を、新基地建設反対を訴えた玉城デニー知事が大差で下した。2014年の知事選に続き、県内移設に反対する県民の意志が明確に示された中で、埋め立てを強行することは民主主義を踏みにじる暴挙としか言いようがない。
そもそも、行政不服審査法は、行政庁の違法・不当な処分などに関し国民の権利利益の救済を図ることなどを目的としている。本来、行政庁である政府は、同法による救済の対象にはなり得ない。
にもかかわらず、県が埋め立て承認を取り消した15年には、沖縄防衛局長が自らを「私人」と主張して承認取り消しの執行停止を申し立てた。国交相はこれを認めている。一般国民のために作られた制度を、政府が「私人」と強弁して乱用するのは詐欺にも等しい行為だ。
政府は、法治国家としてはあり得ない横暴な手段をまたしても取ろうとしている。国交相は、このような欺瞞(ぎまん)に満ちた出来レースにまたしても加担するのか。
石井啓一国交相は公明党に所属している。同党沖縄県本部は普天間飛行場の県内移設に反対する立場だ。県本部からも、理不尽な申し立てを認めないよう働き掛けるべきだろう。
国交相に申し立てをしたことについて岩屋毅(たけし)防衛相は「普天間飛行場の危険性除去と返還を一日も早く実現できるよう努力する」と強調した。知事選の結果について「真摯(しんし)に受け止める」と述べながらも、抑止力の維持と沖縄の負担軽減の必要性を挙げ、移設を進める方針を示した。
「抑止力」は政府の常套句(じょうとうく)だが、その根拠については合理的な説明が示されていない。海兵隊はヘリや水陸両用車の歩兵部隊を海岸から内陸部に上陸させる強襲揚陸作戦や、陸上鎮圧の特殊作戦などが主な任務だ。
 軍事面から見れば、沖縄に海兵隊を展開する理由は乏しいと多くの専門家が指摘している。沖縄には極東最大の米空軍嘉手納基地など多くの基地が存在する。普天間飛行場がなくなったからといって、何の支障もないのである。
「国民の皆さまは、新基地反対の圧倒的な民意が示されたにもかかわらず、民意に対する現政権の向き合い方があまりにも強権的であるという現実をあるがままに見てほしい」と玉城知事は訴えた。
沖縄との対話の道を一方的に閉ざし、問答無用で新基地建設に突き進む。地方の民意を蹂躙(じゅうりん)する安倍政権の態度は全国民にとって脅威となり得る。沖縄だけの問題ではない。

(引用元 : 琉球新報「<社説>国が撤回停止請求 民主主義蹂躙する暴挙だ」2018.10.18

●〔知事選後いきなりの暴挙は安倍の腹いせではないのか!?〕

以上ですが、沖縄県知事選で新基地建設反対の民意が示され、さらに新知事の玉城が民意をバックに安倍に対話を求めたわけです。ですから、国のトップであれば当然これは重く受け止めるべきなのです。ところが安倍は、それらを完全に無視していきなり強引かつしかも不当な法的手段で対抗するという暴挙に出たわけです。これには当然、沖縄県民は怒りました。そのことを報じる「琉球新報」の記事を下に引用します。

「これが日本の民主主義か」 若者ら、政府に反発 辺野古撤回停止請求

 沖縄県知事選後わずか2週間余りで「対抗措置」を講じ、あくまで辺野古新基地建設を進める考えの国に対し、玉城デニー知事誕生を支えた若者からも反発の声が相次いだ。

「うそ? 知事選があったばかりなのに」。沖縄国際大4年の男性(22)=那覇市=は政府の対抗措置を耳にした時、そう思った。知事選では玉城陣営でパンフを配り、「辺野古新基地は要らない」と街頭演説もした。「政府は『沖縄に寄り添う』と言葉だけ取り繕っている。実際は植民地のような扱いだ」と指摘した。

米国の大学で博士課程に在籍する女性(31)は一時帰国し、玉城知事誕生に汗を流した。「これが日本の民主主義か。世界からの信用がなくなるのではないか」と政府を強く批判。「そこまでして辺野古に基地を造ろうとする理由が分からない。首相が明らかにしてほしい」と訴えた。

別の男性(24)=那覇市=は「県と政府の対話が生まれると期待していたが、裏切られた。残念」と話す。辺野古新基地建設の是非を問う県民投票実施を求めてきた男性は「知事選と違って、シングルイシューで民意を問うことになる。絶対負けられない。今度こそ政府は結果を受け止めてほしい」と力を込めた。

(引用元 : 琉球新報「『これが日本の民主主義か』 若者ら、政府に反発 辺野古撤回停止請求」 2018.10.18)

以上のとおり、特に沖縄の若者が驚きと非難を露わにしています。ただ、若者のこれらのコメントのなかにある「うそ?」「裏切られた」といった反応からもわかるように、若者たちは安倍にわずかでも期待していたのでしょう。その期待はまさに裏切られる形になったわけですが、しかし安倍がそういう下劣な人間であることは初めからわかっていたはずです。だからこそ沖縄県民は、県民葬で菅が代読した空疎な安倍の弔辞に怒号を飛ばしたわけなのでしょう。

政府側は、知事選後の今回のいきなりの暴挙に対して、「政府の本気度を示すめでもある」みたいな言い訳をしているようですが、もしかしたら安倍のことですから、県知事選の佐喜眞の惨敗と県民葬での怒号に苛立って、腹いせのつもりでわざといきなりぶつけてきたのかもしれません。というのも安倍は、「権力は積極的に行使するもの」が政治信条であり、なおかつ非情・国民嫌いときているからです。実際、首相としての品格の欠片もない安倍はこれまでにも感情的になってよく暴発していますからね。今回も多分そうなのかもしれません。

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