「菅義偉」の態度がきわめて傲慢・不遜

●〔あなたの要望に答える場ではありません〕

これまでのブログでも述べてきているように、安倍政権になってから以降、メディアの堕落が著しいです。政府の発言や美辞麗句になんの批判も加えることなく、そのまま報道する「政府の広報機関」に堕したメディアが増えてきています。これは、安倍によるメディアへの圧力と懐柔すなわちメディアコントロールおよび、記者クラブのシステム的な問題に起因している、ということはこれまでによく言われていることです。

そうしたなか、記者クラブに所属している東京新聞の望月衣塑子は、歯に衣着せぬ発言をすることで知られています。政府の記者会見場でも望月は、菅義偉官房長官に臆することなく、特にモリカケ問題など、政府の痛いところを突く質問を連発しています。そのため菅は、望月を煙たがっており、望月の質問にまともに答えなくなってきています。菅が特に酷いときは、質問の趣旨とはまったくかけ離れた「あなたの要望に答える場ではありません」などという決まり文句で回答をはぐらかして逃げるようになっています。

菅がその決まり文句で回答をはぐらかしたのは、私が知っているだけでも2017年8月2日、2018年7月30日、2018年9月25日の3回あります。しかも、「あなたの要望に答える場ではありません」というはぐらかし方は、回を重ねるごとに酷くなってきています。以下に、その3回の記者会見のやり取りを引用し、それぞれに解説を加えます。

●〔2017年8月2日―加計疑惑に関する安倍の説明について追及〕

望月 :「明日、総理は内閣改造とともに会見を開かれると思いますが、国民的に見ればですね、骨格となる人事が変わらないという報道が続いているなかで、いちばんの関心事はやはりなによりも、国会で総理が答弁している加計理事長との奢った奢られないという、このあたりのお話も含めての総理の現在でのご説明が重要になってくると思いますが、この件に関して明日の会見できちんとですね、加計理事長との交流、奢ったり奢られたりというところの説明をきっちり総理がするというご予定はございますでしょうか」

菅 :「総理は内閣改造にともなって会見をする予定であります。内容については総理ご自身が明日発言をすると思います」

望月 :「大臣を替えるということだけではですねやはり、なかなかいま疑惑の対象としてなっているのが総理ご自身のご友人関係だと思います。その点も含めましてきっちりとですね、いま支持率を回復するためにも総理の口から加計理事長との関係に問題がないというのであれば、その根拠となるものも指し示してご説明をいただきたいと思いますが、それはおそらく明日は期待できるというふうに考えてよろしいでしょうか」

菅 :「この会見場は、あなたの要望にお答えすることではありません。質問に答える、事実に基づいた質問に答える場所であります」

望月 :「加計疑惑、森友問題を含め、国民の納得しないという回答がこれまでの調査で70%に及んでいるということを含みまして質問しております。私の個人的な意見ではなく、その疑惑に関して総理ご自身がきっちりとですね、説明する気が明日の会見であるのかないのかというのをお聞きしております」

菅 :「このことについても何回ともなくお答えしていることじゃないでしようか。繰り返し繰り返しの質問には答えたとおりであります」

以上ですが、望月はまず、安倍が会見の場で加計疑惑について説明するのかということをしつこく菅に質問しています。これはそもそも安倍のこれまでの説明がいい加減だったからにほかなりません。にもかかわらず、この質問に対して菅は「この会見場は、あなたの要望にお答えすることではありません。質問に答える、事実に基づいた質問に答える場所であります」などと答えているわけです。

菅とすれば安倍の発言内容まで関知しないためそのように答えたのかもしれません。しかし、「あなたの要望」という発言はあきらかに不適切です。望月自身もあとで指摘しているように、そもそも国民の70%が納得していないことであり、望月個人の要望ではないからです。

ところが、望月がそのように指摘すると菅は今度は、「このことについても何回ともなくお答えしていることじゃないでしようか。繰り返し繰り返しの質問には答えたとおりであります」などと答えているわけですが、これも完全に逃げですね。なぜなら、前述のとおり、これまでの安倍の説明がいい加減であり、国民の70%がいまだ納得していないからこそ望月はしつこく質問を繰り返している(繰り返さざるを得ない)からです。ゆえに、それを菅が「繰り返し質問に答えている」と言い張るのはまさに強弁であり逃げでしかないわけです。

それから、菅のその逃げの強弁がさらに傲慢・不遜なのは、その発言の裏には次のような鼻もちならない臭気が含まれていることです。「安倍総理がおっしゃられていることだし、政府の見解はすべて正当なのだから、つべこべ言わずに黙って従え」。これは菅だけでなく、ここ何年も安倍政権全体から発せられている臭気です。

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●〔2018年7月30日―西日本豪雨災害時に行なわれた会合の理由を追及〕

望月 :「菅長官が取り持ったとされている赤坂自民亭の翌日、6日夜の首相と無派閥議員の会合についてお聞きします。この日は広島で土砂が崩れ多数生き埋めになっていると救助要請が相次いでいた。京都、兵庫、広島では死者が出たほか、気象庁の会見を見て報道でも最大級の警戒を呼びかけています。なぜこのような時に災害を指揮すべき首相、長官がこのような会合をもたれたのでしょうか」

菅 :「この場は政府の見解を説明する場でありますので、あなたの要望にお応えする場面ではありません。しっかり対応をしております」

このやり取りを一見しただけでも菅の対応の酷さがわかると思います。そもそも、この質問が行なわれるきっかけとなった西日本豪雨災害時の安倍の対応については、以前の私のブログ(「安倍の残虐性・非人間性 ②『西日本豪雨災害対応よりも総裁選・カジノ審議を優先』」)のなかで詳しく説明したとおりです。ですので、まずはそちらを読んでいただくことをお勧めします。

以前のブログでも説明したように、菅や安倍らは豪雨災害の真っただ中に、救助活動そっちのけで総裁選の根回しに勤しんでいたという報道が以前になされています。そのこともあり、菅としては触れられたくないその事実を望月に追及されたものですから、とにかく逃げるしかないと考えたのでしょう。望月の質問に対して頭からいきなり「この場は政府の見解を説明する場でありますので、あなたの要望にお応えする場面ではありません。しっかり対応をしております」と強弁したのはまさにその表れだと思います。救助活動そっちのけで総裁選の根回しをしていたこともさることながら、ここでの菅の対応もほんとうに酷いものです。

そもそもそ望月の質問をみるとわかるように、「なぜこのような時に災害を指揮すべき首相、長官が」という部分(要望とも受け取れる部分)が質問の主旨ではないわけです。災害にもかかわらず安倍や菅らが会合を開いたこと自体を問いただしているわけです。しかし前述のとおり、菅は痛いところを突かれたため、その質問にはまともに答えたくありません。ですから菅は、「なぜこのような時に災害を指揮すべき首相、長官が」の部分を、望月から要望されたのだと受け取ったふりをして、「あなたの要望にお答えする場面ではありません」などと話しをすり替えてごまかしたのだろうと思います。

痛いところを突かれると、このようにわざと話をすり替えてごまかす小賢しさは安倍とまさしくそっくりですが、どうであるにせよ、このように質問にまともに答えずに、詭弁・強弁で切り捨ててくるのは傲慢・不遜以外のなにものでもありません。

●〔2018年9月25日―沖縄県知事選挙での佐喜眞氏の公約の本気度を追及〕

望月 :「沖縄県知事選についてお聞きします。菅長官の支援する佐喜眞氏は、携帯電話の利用料4割削減を求めると掲げております。これは県知事が決められるものではありませんが、もともと菅長官は知事選の結果に関係なく全国で4割を削減すべきという、こういうお考えなのでしょうか」

菅 :「あなたのご要望にここはお答えする場ではありません。いずれにしろ沖縄の選挙のことについてはご本人に聞いていただければと思います」

菅はまたしてもいきなり例の決まり文句で回答をはぐらかしています。が、そもそも望月がこの質問を菅にぶつけたのは、菅が今年8月21日に札幌市で講演し、携帯電話の利用料について「4割程度下げる余地がある」と述べ、自ら引き下げに意欲を示したからでしよう。その話を、佐喜眞が選挙公約として掲げてきたために、望月は、その本気度を確認するために、菅にそのように質問したのだと思います。

望月の質問の要旨は、「もともと菅長官は知事選の結果に関係なく全国で4割を削減すべきという、こういうお考えなのでしょうか」のなかの〝結果に関係なく〟という文言に表れています。つまり望月は、この質問のなかに次の含みを込めていたのだと思います。

「利用料値下げの話は、ほんとうにそう思っているのか。県知事が決められるものではないので、ほんとうにそう思っているのなら、知事選の結果に関係なく今後、政府が進んで値下げの検討に入るはずだが、その意志はあるのか。値下げの話は選挙目的の口先だけではないのか」

ただ、この質問に対しても菅は頭からいきなり 「あなたのご要望にここはお答えする場ではありません。いずれにしろ沖縄の選挙のことについてはご本人に聞いていただければと思います」などと回答したわけです。

この回答は、これまで見てきたなかでも特に質問と回答が噛み合っておらず無茶苦茶なのがわかります。というのも、菅はここでも「あなたの要望」などと言っているわけですが、前述のとおり、利用料値下げの話はそもそも菅自らが言い出してきたことであるし、また質問のどこを見ても望月の要望と受け取れる箇所は存在しないからです。

要するに菅は、望月の質問の要旨(含み)を理解したことはしたのでしょう。しかし菅は、値下げの意志が本気ではなかったのか、それとも望月の質問にただカチンときたのか、とにかく菅はここでも望月の質問にまともには答えたくなかったのでしょう。ですから、望月が質問のなかに含みとして込めていた「知事選の結果に関係なく今後、政府が進んで値下げの検討に入るはずだが」という部分(強引に解釈すれば要望のようにも受け取れる部分)をあえてつまみ取って、「あなたのご要望にここはお答えする場ではありません。いずれにしろ沖縄の選挙のことについてはご本人に聞いていただければと思います」などと強引に話をすり替えてごまかしたのだと思います。

●〔魚は頭から腐る〕

以上ですが、これらをみてもかわるように、とにかく菅の傲慢・不遜な態度は年々酷くなってきているということです。そして、記者に対する菅のこうした態度というのは、そのまま国民に向けられているのと同じだということなのです。うえの引用のなかで望月が、「加計疑惑、森友問題を含め、国民の納得しないという回答がこれまでの調査で70%に及んでいるということを含みまして質問しております」と述べていたように、記者というのはそもそも国民を代表して質問しているようなものだからです。

そして、そのことはもちろん記者会見だけでなく、国会答弁も同じことです。特に首相である安倍は、国会中継や記者会見など、国民のまえでは謙虚なふりをしていますが、言っていること(詭弁・強弁)はまさに菅とそっくりです。というより菅以上に酷いわけです。安倍がいかに国民をバカにしているかということなのです。が、安倍がそうであるゆえ、さらに深刻なのは、「魚は頭から腐る」のことわざどおり、いまや菅だけでなく安倍政権全体から傲慢・不遜な臭気がただよっていることなのです。その腐臭が彼らの発言だけでなく、行動も含めた安倍政治のすべてに及んでいるため、日本はそうとう深刻な状況だということなのです。

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