沖縄県知事選「どんな汚い手を使ってでも勝てば官軍の安倍政権」

●〔玉城デニーのデマを流す安倍政権サイド〕

沖縄ではかつてから、「沖縄は基地で食べている」「もともと基地があった周りに人が住み始めた」などというデマが広がっていました。辺野古新基地建設に賛成する自民党支持者らが、そうしたデマを垂れ流したのでしよう。なんとも汚いやり方です。ところで、そのようななか現在は沖縄県知事選挙が展開されているわけですが、自民党支持者らは今度は、新基地建設に反対する玉城デニー候補をターゲットとしたデマを流しているようです。そのことを報じる日刊ケンダイの記事を下に引用します。(ベージュの色付けは私が行ないました。)

 13日告示される沖縄県知事選(30日投開票)。故翁長知事の遺志を引き継ぐ玉城デニー衆院議員(58)と、自公維が推薦する佐喜真淳前宜野湾市長(54)の事実上の一騎打ちとなる中、選挙戦は玉城氏に対する怪文書やデマが多数出回る異常事態となっている。

玉城氏は10日、自身に関するデマについて、名誉毀損の疑いで那覇署へ刑事告訴する手続きに入った。玉城事務所はデマの内容を具体的には明らかにしていないが、問題のひとつとみられるのがインターネット上のある動画だ。そこでは玉城氏が所属する自由党の小沢一郎代表が沖縄県宜野座村に所有する別荘が紹介され、〈この別荘の建設工事 地元業者がみな嫌がったのを無理やり説得したのが玉城デニーだったという〉というテロップが流されていた。

そして、この動画の拡散に一役買ったのが、ナント公明党の遠山清彦衆院議員(49)。9日に自身のツイッター上に、この動画を添付して投稿、「知事選へ立候補を決めた玉城デニー氏は、知事になった後もこの人に色々相談するのだろう。絶対阻止する」とコメントしているのである。

投稿を受け、玉城氏はツイッター上で「地元の業者が嫌がったのを無理矢理やらせたのが私?バカバカし過ぎて相手にしていませんでしたが完全なデマ!です」と反論、その翌日には刑事告訴の準備を宣言した。

日刊ゲンダイが遠山氏を電話で直撃するとこう言った。

「私は動画を見つけてそれを投稿しただけで、内容の真偽については確認していません。県知事選に際して、周辺の状況を皆さんに知って欲しいと思っての行動です。小沢氏の豪邸があるのは事実で、デニー氏が言っている箇所については私は触れていない。責任は動画を作った人に問い合わせていただきたい」

国会議員が真偽不明の動画を平気で拡散してしまうとは……。驚くしかないが、「辺野古隠し」で旗色が悪い佐喜真陣営は、ネガティブキャンペーンに必死なようだ。

(引用元 : 日刊ゲンダイ「玉城デニー氏のデマ動画拡散 公明衆院議員の呆れた言い訳」 2018.9.12)

これを見て特に驚くのは、ベージュで示した箇所です。現職の公明党議員が、真偽不明のデマ動画をネット上で拡散したというところです。そもそも「平和の党」を自称し、「自民党の暴走を止める」などと豪語していた公明党は、暴走を止めるどころか、自民党のこれまでの数々の強行採決に乗っかったり、モリカケ疑惑の安倍を擁護したりなど、完全に自民党の補完勢力に成り下がっています。そしてさらに、今回の沖縄選挙でのこのデマの拡散です。去年だったか、NHKの討論番組のなかで、当時、民進党代表だった岡田克也が、公明党代表の山口那津男に面と向かって「公明党さん変わりましたね!」と批判していましたが、公明党はまさにこのとおり変質してしまいました。

●〔安室奈美恵を政治利用する自民党の下劣さ〕

前沖縄県知事の翁長雄志は、自民党が推し進めようとする辺野古新基地建設に反対し続けてきたわけですが、先日、芸能界を引退した安室奈美恵がそうした翁長の意志を支持していたことは知られているとおりです。また、安室が支持していた翁長は、亡くなるまえに自身の後継者として、玉城デニーを指名していました。そうした経緯からも、玉城が今回の県知事選挙で安室のポスターを選挙事務所に貼ったりなどの政治利用はごく自然ですし、特に問題があるわけではありません。

問題なのは、玉城の対立候補である佐喜眞敦を推す自民党サイドが、安室を政治利用することなのです。というのも、安室が支持していた翁長は、自身の意志を引き継ぐ後継者として玉城を指名していたわけです。そのことからも、玉城の対立候補である佐喜眞の応援に自民党が安室を政治利用することは、安室にとっては不本意なはずだからです。それだけではありません。自民党が安室を政治利用することは、あたかも安室が佐喜眞を応援しているかのように国民に見せかける(偽る)ことになるからです。自民党の目的はまさにそこにあるわけなのでしょう。実際、自民党の小泉進一郎が沖縄県入りし、応援演説の際に安室奈美恵の名前を連呼したり、佐喜眞の選挙カーが、安室の楽曲「Hero」を鳴らしながら走ったりしている動画がツイッターなどに投稿されています。まさに下劣としか言いようがありません。

●〔候補者名を書いた投票用紙をスマートフォンで撮影させる〕

そうしたなか、さらに今度は、期日前投票において誰に投票したかを確認するため、企業や団体が社員らに、候補者名を書いた投票用紙をスマートフォンで撮影させている、などという情報まで流れてきました。それを報じている朝日新聞デジタルの記事を下に引用します。

 30日投開票の沖縄県知事選で、期日前投票が前回より大幅に増えている。

(中略)

こうした中、ネット上では「候補者名を書いた投票用紙をスマートフォンなどで撮影させている」との情報が流れ、投票用紙とみられる写真も出回る。企業や団体などが社員らに「指示通りに投票したかを確認するために撮らせている」との疑念がSNSなどで飛び交い、県内の弁護士たちは20日、県選管に「投票の自由や投票の秘密を侵害する由々しき事態」として、投票所での写真撮影を禁じるよう求めた。

総務省によると、公職選挙法には、投票所での自分の投票用紙の撮影に関する明確な規定はない。ただ県選管は20日、市町村選管に「トラブルが起きる可能性がある時は、撮影を制限することも可能」と伝えた。公選法に詳しい神戸学院大の上脇博之教授(憲法学)は「憲法が保障する投票の秘密を侵害するおそれがある。企業や団体に報告させるようなことがあれば、結果として社員らに投票を強いて選挙の自由を妨げることにもつながる」と指摘している。(角詠之、吉田啓)

(引用元 : 朝日新聞デジタル「誰に投票したか、証拠撮影させた? 過熱する沖縄知事選」 2018.9.22)

記事にあるとおり、投票用紙の撮影は企業や団体がやらせているということですし、こういう卑劣なことを平気でやるのは、おそらくこれも自民党・公明党サイドでしょう。なぜなら、「佐喜眞陣営が、誰に投票したかを企業や団体に書面で報告させている」という情報がこれまでにもツイッター上で流れていましたし、実際、自民党は企業、公明党は団体(創価学会)をいつも選挙で総動員しているからです。ちなみに下のチラシは創価学会員がばらまいているものなのですが、内容の必死さ、強引さからしても、こうした彼らならまさにそこまでやりかねないと思います。(※チラシ内の「F」とはフレンドのことのようです。)

●〔いくら汚い手を使っても勝てば官軍〕

というわけで以上ですが、要は、なにが言いたいかというと、近年ますます卑劣さ下劣さを増してきている安倍政権の酷さは、このように選挙戦でも露呈しているということなのです。こうした状況を見ていて、文筆家の山崎雅弘はツイッター上で次のようにコメントしています。

「『勝てば官軍』『勝ってしまえばこっちのもの』『だからいくら汚い手を使っても構わない』という薩長同盟式の汚い方法論を、日本社会のスタンダードにしてしまっては駄目だろう」

すでにスタンダードになってしまっていると思うのですが、こうなってしまったのもすべてはまさに安倍政権の所業です。日本の伝統・文化・民主主義を破壊し尽くし、選挙戦もこのありさまで、まさに戦国時代に後戻りしたかのような日本になってしまった、というわけです。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする