精神世界に興味がある人だけでなく、興味がない人でも、ある時期から自然に使っているスピリチュアル的な用語に「パワースポット」や「癒し」というものがあります。これらの言葉は、スピリチュアルの流行とともにどこからか自然発生的に出てきたような感がありますが、じつはそうではないようです。それらの言葉(概念)を世に知らしめるべく一番最初に使った人がいて、そのことによってしだいに世の中に浸透してきた言葉のようです。
「パワースポット」と聞くと、霊的なイメージがありますし、江原啓之が自著やテレビのなかでよく使っているので、私はてっきり江原啓之が使い始めた言葉なのかなと思っていました。ところが、じつはそうではありませんでした。国際気能法研究所の所長であり、霊能力者でもある秋山眞人という人が1986年出版の自著のなかに、「全国にパワースポットというのがある」といった趣旨のことを書いたのがどうやら最初のようです。秋山は2013年に配信した自身の動画のなかで自ら「私が最初だ」と言ってそのことを告白しています。
それから「癒し」という言葉についてですが、これは、現在、東京工業大学の教授である上田紀行という人が1980年後半あたりから使いはじめたことで次第に広まっていったようです。自身も著書の中などでそのことを自ら告白しています。上田は、霊能者ではないのですが、氏はかねてから仏教に精通しており、また、スリランカの悪魔祓いという儀式を現地で直接見たことにより、心が大きく疲弊している日本人にはぜひ「癒し」が必要だとのことで、日本に癒しを広めはじめたようです。
ところで、「パワースポット」にしろ「癒し」にしろ、どちらもまさに精神的なものであり、いずれも精神に力を与えたり、本来の精神の力を取り戻そうとする意味合いが強いものです。それだけ昨今の日本人は、精神的なものに関心が向いているということなのでしょう。昨今はストレス社会といわれて久しいことも相まって、そうした傾向性はこの先ますます高まっていくような気が私はしています。